『沖島さくら紀行』 その2
腹ごしらえも済んで
再び、桜を追いかけることにした。
琵琶湖の水面にも届くかのように
垂れ下がる枝の桜は珍しいと思う。
なんでもそうだが、花の撮影は難しい。
勿論、花曇りでも花の写真は撮れない訳ではないけど
やっぱり、僕は光のある方が好きだ。
『もうちょっとくらい風が吹いてくれてもいいのに』とか
つい、人間というのは勝手なもので思ってしまう。
そう。桜吹雪が撮りたいからだ。
でも、人間の都合の良い様に
風は吹いてくれない。
今度は陽が陰ってきた。
空を見上げると結構、大きな雲が
覆いかぶさっていた。
しかも上空の風は無さそうで、雲の動きが見えない。
これは再び陽が射すまで時間が掛かりそうだ。
でも折角、場所を絞ったから
根気良く待とう。
『天候待ち』や『光待ち』はいつものことだ。
忍耐。忍耐。
しばらくすると遊歩道の向こうから
わらわらと人影が近づいてきた。
『ああ、渡し船が着いたんだな』
と、思うや否や。
まさか、こんな時に限って陽が射して来はじめるとは。
しかも皆さん、ゆっくりと記念写真を撮りながら立ち止まる。
焦る…。
勿論、僕も観光客で同じ立場だから
退いてほしいなんて、よもや言えない。
『また陰ったら、どうしよう…』
嫌な予感が脳裏をよぎる。
慌てて空を見上げる。
妙に心拍数が上がる。
心配も束の間。
観光客の皆さんも通り過ぎて
無事に陽が射しているうちに
写真に収めることができて、やれやれ。
観光地では、よくあることだ。
取り敢えず、晴れた日の
『桜のトンネル』を
撮るという目的は果たせたので
港へと足早に向かう。
『光待ち』のために
一便、帰りの船に乗り遅れたので
次の船が来るまで
小学校の方へ散策する。
再び、友達からの着信音が鳴る。
ゆっくりとしている時間もなく
港へと急ぐ。
島を離れて、船の後ろを見ると
陽はかなり傾いていて
ちょっとした小旅行気分を味わうことができた。
港に着くと思わぬ
お見送りの珍客に出くわした。
稀に見る、人懐っこい猫。
港の奥の方から
『にゃあ。にゃあ。』と
こんな風に笑いながら近づいてきた。
何かもらえるとでも思ったのか?
お弁当を入れていたコンビニ袋の音で
どうやら近づいてきたようだ。
おかげで疲れが吹き飛んだ。
ありがとう。猫ちゃん。
いい旅になった。
One Direction - Story of My Life
by ps_palette | 2017-04-20 03:16 | 季節は春に | Comments(0)